今日は朝から横焚きに入る予定で、窯場に下りて行くとシドニーが予定の温度まで上げられていない事を申し訳なさそうに言うので私はノープロブレム!と言い、ほとんど経験が無いにもかかわらず温度を上げていく才能はすごいなと思っていたので、まして今回のケースでも少しの時間で予定温度へ持って行けると判断、出来るところまでは頑張ってくれていました。
午前9時半正面の温度は予定温度1150度に達し、土窯(復元古窯)の場合は熱特性に優れているので、煉瓦製の窯より100度程温度が低く焼成を完了出来る事が備前の私の土窯で実証されています。アーカンソーの土窯でもそうである事を実証出来ればと思っていましたが窯の中を覗くと作品は実に見事に焼けていて色見を引き出してもう一度確認し、午前10時横焚きを開始しました。土窯の横焚きは経験豊富な赤井が他のメンバーをリードしていき、正面の焼成に加えまず横1番焚口から焼成開始、1〜2時間焼成すると温度の上下振幅は安定し、徐々に温度は上昇していき、この時点では正面の焼成は終了しているので焼成のコントロールは横1番焚口で行い、5時間を経過した時、横1番の予定温度に到達、2番焚口の口を切り、2番の焼成入りました。
この時点が一番忙しい時で正面に加え1番、2番に焚口と6カ所の焚口を焼成しており、横焚き開始から8時間経過、何度かの温度上昇停止、下降を経て2番も順調な焼成に持って行くことが出来ました。
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初窯の焼成には過去のデータが無く、手探りで焼成の基礎を構築しなければならないので、横焚きのリードを任された赤井は全神経を集中し焼成に関わり、他の二人のメンバーは赤井からアドバイスをもらいながら夏の窯場の暑さの中頑張っている。私は正面を担当しながら横焚きに入る時が来た時にアドバイスを入れ、また焼成を交代、窯にとって最も適した状態の焼成法を構築して行き、これが今後の焼成にとって重要なデータとなるので、ただ温度を上げれば良いのではなく、この窯と作品にあった土、窯詰めを総合的に勘案した上で焼成法を造り上げていきます。成形、窯焚き、補修、窯詰め、初窯焼成と休む間もない状態での今であるので、体は疲れきっていますが妙に頭の芯は冴えた感じが続いています。
横焚き開始から10時間、1番の焼成を終え、3番の焼成に入り、焼成も最終段階に入り、ここで正面の上の口は焼成を終え、2番と3番で温度を上げていくので、3番が何とかなれば成功となります。
しばらくすると3番の温度が上がり始め、コントロールの主を3番に持っていくことが出来、煙出しに近い所だけに3番の焚口からは火が吹き、熱く、焚きにくい所ですが、一生懸命取り掛かり、やがて温度は予定の温度域に達し、中の状態を確認すると備前の土とは様子が違うのでどうかと思いましたが、窯内の作品の状態はとても良く、ここで火を止める決断をし横焚き開始から12時間、窯は充分持ちこたえてくれ、長かった一連の作業が終わりました。後はこれらの取り組みに作品がどう応えてくれるのか、窯出しを待つのみです。
火は止まり焚口の土塗りなど一連の作業も終わり、みんな無事終えられた安堵感に満ちた顔をし、私は土窯に良く頑張ったねと心の中で話しかけ、手袋をした手でそっと触れました。
全員ゆっくり休んでその後は窯出しまでのクールダウンの間に撤収準備開始です。
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